先に結論から書きます。
僕は先日、たった1日のデイトレードで22万円を失いました。しかも、損切りルールを知らなかったからではありません。ルールは決めてありました。決めてあったのに、そのルールが発動する手前で、自分の手で決済してしまったからです。
信用取引の解説記事はネットにいくらでもありますが、「損切りルールを決めましょう」で終わっているものがほとんどです。でも本当に難しいのは決めることではなく、守ることの方でした。この記事は、その失敗をそのまま書き残しておくためのものです。
損切りルールは「決めること」より「守ること」が難しい
損切りの必要性は、信用取引を始める人ならたいてい理解しています。僕も理解していました。元金融機関勤務で、レバレッジがどういうものかも知っているつもりでした。
それでも守れませんでした。理由はシンプルで、逆指値注文を入れていなかったからです。
逆指値を入れていないということは、損切りの判断を「その瞬間の自分」に任せているということです。含み損が膨らんでいる最中の自分は、平常時の自分とは別人です。
- 「もう少し待てば戻るかもしれない」
- 「ここで切ったら底で売ることになる」
- 「さっきの高値まで戻ったら手仕舞おう」
この3つが順番に頭に浮かんで、結果としてルールより手前の値段で、感情で決済していました。しかもそれが「早く切った」なら傷は浅かったのですが、実際には損切りラインの手前でウロウロして、結果的にトータルの損失を膨らませていました。
そもそも、なぜ「-8%」なのか
僕が採用している損切り幅は購入価格から-8%です。これは湘南投資勉強会のkenmoさんが著書で書かれていた基準を参考にしています。
ポイントは、この数字が「集中投資を前提としている」ことです。
- 20〜30銘柄に分散しているなら、1銘柄が-30%になっても全体への影響は限定的
- しかし4〜5銘柄に集中しているなら、-30%を1回食らうだけで資産が大きく削られる
つまり-8%というのは「ここまでなら耐えられる」という数字ではなく、「集中投資をするなら、これ以上は許容できない」という上限です。分散度合いが低いほど、1銘柄あたりの損切りは浅くしないと成立しません。
逆に言えば、-8%を「厳しすぎる」と感じるなら、それは損切り幅の問題ではなくポジションが大きすぎるというサインかもしれません。
結論:発注と同時に、例外なく逆指値をセットする
僕がこの失敗から導いた対策は、精神論ではなく手続きの話でした。
新規の買い注文を出したら、その場で、同じ画面を閉じる前に逆指値を入れる。
「あとで入れる」は絶対にやりません。あとで入れようとすると、そのときにはもう株価が動いていて、「今の値段で逆指値を入れると損失が確定しそうだから、もう少し様子を見よう」という判断が入り込む余地ができるからです。
逆指値をセットしてしまえば、あとは何もしなくていい。「何もしない」を選べる状態を、注文の時点で作っておくというのが要点です。
そしてもう一つ決めたのが、逆指値以外の理由で決済しないというルールです。含み損の途中で怖くなって手動で切るのも、ルール違反として扱います。損切りが早すぎても遅すぎても、ルールを回していないことに変わりはないからです。
注意:-8%が機能しない銘柄がある
ここは実際にやってみて初めて分かった落とし穴です。
僕が22万円を溶かしたのはキオクシア(285A)でした。この銘柄の直近の値動きを並べてみると、こうなります。
| 日次変動の例 |
|---|
| -18.3% / -16.1% / -15.1% / -13.8% / -13.5% / -12.9% |
| +17.7% / +17.2% / +12.3% / +12.1% |
1日で±10%超が常態化している銘柄です。ここに-8%の損切りを置くと、単なる日中のノイズで毎回刈られます。方向が合っていても損切りにかかる、ということが普通に起きます。
さらに深刻なのは、この銘柄は期間中にストップ安を2回つけていることです。ストップ安で売り気配のまま張り付くと、逆指値注文そのものが約定しません。「-8%で切れるはず」という前提が崩れます。
ここから言えることは、
- 損切り幅は「全銘柄一律-8%」ではなく、銘柄のボラティリティに合わせて設計すべき
- 高ボラ銘柄を扱うなら、損切り幅を広げる代わりにポジションサイズを小さくする
- そもそも、値幅制限に張り付くような銘柄はルール自体が機能しないと理解しておく
ということです。「有名な銘柄だから」「動きが大きくて面白そうだから」で選ぶと、自分のルールが適用できない土俵に上がることになります。
損切りは「%」ではなく「金額」で考えると迷わなくなる
-8%という%表示は、実は使いにくい数字です。同じ-8%でも、100万円のポジションなら-8万円、30万円のポジションなら-2.4万円で、痛みがまったく違います。
なので僕は順番を逆にしました。
- 1トレードで失ってよい金額を先に決める(僕の場合は5.2万円)
- それを損切り幅8%で割って、ポジションの金額を出す(5.2万 ÷ 0.08 = 65万円)
- 65万円を超える買い注文は出さない
こうすると、「いくら買うか」で迷わなくなります。この計算の詳細は別記事にまとめました。
→ 関連記事:信用取引の資金管理|1トレードの損失を「資金の2%」に抑えるポジションサイズの決め方
当面は「損益」ではなく「ルール遵守率」で自分を評価する
最後にもう一つ、今回決めたことを書いておきます。
これから30トレードは、勝ち負けで自分を評価しません。
代わりにチェックするのはこの3つだけです。
- 発注と同時に逆指値を入れたか
- 逆指値以外の理由で決済していないか
- ポジションは決めた上限金額以内だったか
30回連続でこの3つが全部「Yes」になるまで、ポジションサイズは上げません。
なぜかというと、利益が出たかどうかは、短期的には運の要素が大きすぎて、自分の行動が正しかったかの答え合わせにならないからです。ルールを破って勝ってしまうと、その破り方を学習してしまいます。それが一番まずい。
負けた日に「次はもっと集中して見る」と決意するのではなく、決意しなくても同じ結果になる仕組みを先に作る。22万円払って学んだのは、だいたいこういうことでした。
よくある質問
Q. -8%より浅く(-3%など)設定するのはダメですか?
ダメではありませんが、損切りが浅いほど「方向は合っていたのに刈られる」回数が増えます。損切り幅を浅くするなら、その分ポジションを大きくできる計算にはなりますが、勝率が下がるので、トータルで有利になるとは限りません。まずは自分が扱う銘柄の日次変動幅を数えてみて、そのノイズより外側に置けているかを確認するのが先です。
Q. 逆指値を入れると、そこを狙って刈られませんか?
キリのいい価格(直近安値ちょうど、100円単位ちょうど)に集中させると、そこに注文が溜まりやすいのは事実です。ただ、これを気にして逆指値を入れないのは本末転倒でした。少なくとも僕の場合、刈られて失った額より、逆指値を入れずに失った額の方がはるかに大きかったです。
Q. スイングトレードでも同じルールでいいですか?
保有期間が長くなるほど、価格が動く幅も大きくなるので、日足ベースのスイングなら損切り幅は広めに取る必要があります。ただし「発注と同時に逆指値」という原則は、デイトレでもスイングでも変わりません。むしろ場を見ていない時間が長いスイングの方が、逆指値の重要度は高いと思っています。
Q. ストップ安で損切りできなかったらどうするんですか?
正直に言うと、事前にできることは「そういう銘柄を避ける」しかありません。値幅制限に張り付くと、注文の有無に関係なく売れません。だからこそ、損切りルールが機能する銘柄を選ぶという工程が、損切りルールそのものより先に来ます。
※この記事の内容は個人の見解・体験談であり、投資助言ではありません。信用取引は元本を超える損失が生じる可能性があります。制度の詳細や手数料・金利は各証券会社の公式情報をご確認ください。売買の判断はご自身の責任でお願いします。

