先日、フジクラの決算発表の直後に売買して、20分ほどで18万2,440円を失いました。
情けないのは、その少し前に「1トレードの損失は資金の2%(5.2万円)まで」「1ポジションは65万円まで」という資金管理ルールを自分で決めたばかりだったことです。ルールを作った直後に、自分で壊しました。
しかも、同じ失敗を10分後にもう一度やっています。
約定履歴と5分足を突き合わせて、何が起きていたのかを検証しました。数字は全部そのまま出します。
20分で何が起きたか
2026年8月7日、フジクラの決算発表は14時ちょうど、取引時間中でした。
| 時刻 | 株価の動き | 僕の行動 |
|---|---|---|
| 13:55 | 発表前に4,549円→4,395円へ急落(出来高152万株) | 見ていた |
| 14:00 | 決算発表。4,395円→4,853円へ急騰(343万株) | 4,675円で1,000株買い |
| 14:05 | 5,100円まで上昇後、4,701円へ反落 | 保有 |
| 14:10 | 4,583〜4,788円で推移 | 4,599〜4,612円で売却 |
| 14:15 | 再び5,118円まで急騰 | 見ていた |
| 14:20 | 5,174円まで上昇 | 約5,159円で1,000株買い直し |
| 14:20 | 同じ5分の間に4,890円まで崩壊 | 5,050〜5,051円で損切り |
確定した損益はこうなりました。
| 買値 | 株数 | 建玉金額 | 売値 | 下落率 | 確定損益 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1回目 | 4,675円 | 1,000株 | 467.5万円 | 4,599〜4,612円 | -1.5% | -73,146円 |
| 2回目 | 約5,159円 | 1,000株 | 約516万円 | 5,050〜5,051円 | -2.1% | -109,294円 |
| 合計 | -182,440円 |
いずれも楽天証券の制度信用取引(返済期限6か月)です。運用資金は260万円なので、この18万円は資金の約7.0%にあたります。上の金額は手数料・信用金利を含んだ確定損益です。
ついでに、取引の種類も間違えていました
20分で決済しているのに、返済期限6か月の制度信用を使っています。
楽天証券には「いちにち信用」という、当日中の返済を前提にした信用取引があります。こちらは売買手数料0円で、金利・貸株料も0%です(適用条件は変更されることがあるので、利用前に必ず公式でご確認ください)。今回のように当日中に決済するなら、明らかにこちらを使うべきでした。
損益から逆算すると、1回目にかかったコストは約350円。2回目は建玉が大きいぶん、概算で約400円前後になります。合計で700円強。18万円の損失に比べれば小さい金額ですが、払う必要のなかったコストです。
損失そのものより、こういう「知っていれば避けられた無駄」の方が、あとから効いてきます。
下落率は-8%以内。でも、損失額はルールを超えた
まずここを直視しておきます。
僕の損切りルールは2つあります。「下落率は-8%まで」と「1回の損失額は5.2万円まで」です。
下落率の方は守れています。 今回はどちらも-1.5%と-2.1%で、上限のはるか手前で切りました。「損切りできずに含み損を抱え続けた」わけではありません。
しかし損失額は、7.3万円と10.9万円。 上限の5.2万円を、1.4倍と2.1倍も超えています。
片方は守れて、もう片方は守れていない。 なぜそうなるのかが、この記事の本題です。
主因は、建玉の大きさだった
答えははっきりしています。買った金額が大きすぎました。
僕のルールでは、1ポジションの上限は65万円です。ところが実際に建てたのは467.5万円と約516万円。それぞれ約7.2倍と約7.9倍です。
同じ「-1.5%で損切り」をしても、建玉が違えば損失額はまったく違います。
| 建玉 | -1.5%で損切りしたときの損失 |
|---|---|
| 65万円(ルール上限) | 約1万円 |
| 467.5万円(実際) | 約7.3万円 |
下落率だけを比べれば判断は同じです。違うのは建玉額。それだけで、1万円で済む話が7.3万円になりました(表の-1.5%は丸めた値で、平均約定単価から計算した実際の下落率は約1.56%。差額には手数料と金利も含まれます)。
ここで気づいたことがあります。
損切り幅とポジションサイズは、セットでしか意味を持たない。
「-8%で切る」というルールだけを見て「守れている」と思っていましたが、それは建玉が65万円であることが前提の数字でした。片方だけ守っても、資金管理としては機能しません。
→ 関連記事:信用取引の資金管理|1トレードの損失を「資金の2%」に抑えるポジションサイズの決め方
なお、516万円の建玉は運用資金260万円に対してレバレッジ約2.0倍です。この水準がどれくらいの下落に耐えられるかは、別記事で計算しています。
→ 関連記事:信用取引の追証はいくら下がったら発生する?自分の口座で計算してみた
決算直後の値動きに、飛び乗ってはいけなかった
もう一つ、はっきりした失敗があります。入り方です。
僕が売買した14時台前半の5分足を、もう一度見てください。
| 時刻 | 高値 | 安値 | 5分間の値幅 |
|---|---|---|---|
| 14:00 | 4,853円 | 4,395円 | 458円 |
| 14:05 | 5,100円 | 4,701円 | 399円 |
| 14:15 | 5,118円 | 4,660円 | 458円 |
| 14:20 | 5,174円 | 4,890円 | 284円 |
14:00と14:15の足では、5分間に458円動いています。1,000株なら、5分で45万円動く計算です。
この値動きの中では、注文方法の選び方がそのまま結果を左右します。そして僕は、1回目と2回目で違う方法を使い、どちらも失敗しました。
1回目は成行です。急騰しているのを見て、とにかく乗ろうとしました。成行は「いくらでもいいから買う」注文なので、板が動いている最中は想定より不利な価格で約定します。4,395円から4,853円へ跳ねる5分の中で、4,675円を掴みました。
2回目は指値にしました。1回目で滑ったので、今度は値段を決めて入ろうと考えたわけです。約5,159円で指値を置き、その価格で約定しました。買値の上限は、たしかにコントロールできています。
それでも負けました。同じ5分足の中で、4,890円まで崩れたからです。
ここが一番の学びでした。
買い指値は「この値段以下でなら買う」という注文です。だから、5,159円ちょうどで約定したということは、発注した時点で株価がすでに5,159円あたりまで来ていたことを意味します。もっと安い場面で置いていれば、もっと安く約定していたはずだからです。
つまり僕がやったのは、こういうことでした。
指値の上限を、そのときの株価に合わせて置いた。
これでは、成行とほとんど変わりません。上限を自分で決めているようで、実際には「相場が今つけている値段」に上限を追随させていただけです。5,174円という高値のすぐ下、いちばん高いところで買っています。
指値が守ってくれるのは「想定より高く買わされること」であって、「そもそも高すぎる値段を自分で指定すること」ではありません。
※発注した正確な時刻と、そのときの板は記録していないため、注文を出した直後に約定したのか、少し待って約定したのかまでは確認できません。ただ、約定価格が5,159円だった以上、発注時点の株価がそれより十分安かったとは考えにくい、という推定です。
決算の内容が良かったか悪かったかは、この際あまり関係ありません。成行なら約定価格を選べず、指値なら「今の値段」に引きずられる——値が飛んでいる最中は、どちらにしても分が悪い、という話です。
2回目は、質の違うミスだった
そして、目を背けたくなる事実があります。
1回目に4,600円前後で損切りした銘柄を、10分後に約5,159円で買い直しています。
560円高い場所で、しかも建玉をさらに増やして入りました。
理屈で説明できる行動ではありません。切った直後に株価が上がっていくのを見て、取り返そうとした——それだけです。「さっき自分が売った株が上がっている」という状況は、想像以上に判断を狂わせます。
1回目は「サイズと入り方を間違えた」ミスでした。2回目は感情で入ったミスです。しかも1回目からわずか10分。何も学習しないうちに、同じことをやりました。
その後、株価はどうなったか
正直に書いておきます。
5,050円で切ったあと、株価はさらに上げ、8月10日の終値は5,589円になりました。
ここは正確に書いておきます。買値の5,159円から見れば、保有し続けていた場合の含み益は約43万円です。よく言われる「売った値段からいくら上がったか」(5,050円→5,589円で約54万円)とは別の数字で、自分の損益として意味があるのは前者です。
それでもかなり堪えました。18万円を失っただけでなく、43万円の機会を逃したようにも見えるからです。
でも、ここから学ぶべき教訓は「損切りしなければよかった」ではありません。
「売らなければよかった」は、一番危険な学び方
今回上がったのは、あくまで結果論です。切った時点で、その先の値動きは確定していませんでした。実際、発表の5分前には4,395円まで売られており、そこから上に行くか下に行くかは、その時点では分かりません。
もしここで「損切りは損だ」と学習してしまったら、損切りをためらう癖がつき、次回以降の損失を拡大させるおそれがあります。そして戻ってこない銘柄を掴んだとき、資金を大きく失って、取引を続けられなくなりかねません。
そして忘れてはいけないのは、この建玉が467万円・516万円だったということです。もし逆に振れて-10%まで行っていたら、損失は50万円になっていました。「持っていれば儲かった」の裏側には、必ず「持っていたら倍以上やられた」があります。
損切りは、勝つための技術ではありません。「一度の失敗で退場しないための保険」です。保険は、使わずに済んだときに「損した」と思うものではありません。
決めたこと
同じことを繰り返さないために、3つ足しました。
1. 決算発表の直後、最初の30分は売買しない
値が飛んでいる最中は、成行なら滑り、指値なら置いていかれます。どちらを選んでも分が悪い。入るなら、値動きが落ち着いてからにします。今回の2回はどちらも、この30分の中で起きています。
2. 1ポジション65万円を、例外なく守る
今回はここが崩れたので、他が全部正しくても意味がありませんでした。「今日は自信がある」は、サイズを上げる理由になりません。
3. 損切りした銘柄を、その日のうちに買い直さない
2回目の入り方は、明らかに感情でした。冷却期間を機械的に置きます。
当面は、損益ではなく「この3つを守れたか」で自分を評価します。 30回連続で守れるまで、サイズは上げません。なおこの「30回」に統計的な根拠はなく、自分の行動を矯正するために区切りとして決めた数字です。
これは、以前に1日で22万円を失ったときと同じ結論です。あのときも問題は「ルールを知らないこと」ではなく、判断をその場の自分に委ねたことでした。
→ 関連記事:信用取引の損切りルール|「-8%で機械的に切る」を守れずに22万円溶かした話
よくある質問
Q. 決算発表の直後に売買するのは、やめた方がいいですか?
少なくとも僕には向いていませんでした。発表直後は5分で450円以上動くことがあり、成行で入れば想定より不利な価格で約定しやすくなります。
ただ、今回は指値でも負けました。「時間」と「注文方法」は別の話で、注文方法を工夫しても、入るタイミング自体が悪ければ助けになりません。値動きが落ち着けば滑る幅は相対的に小さくなりますが、約定価格を制限したいなら指値などの選択も必要ですし、逆に落ち着いた相場でも成行なら価格は保証されません。
Q. 損切りは何%が正解ですか?
その数字だけを単独で決めても意味がありません。この記事の要点はそこです。損切り幅は、建玉の金額と一緒に決めて初めて「1回の損失がいくらになるか」が確定します。僕の場合は「1回の損失を5.2万円まで」を先に決めて、そこから逆算しています。
Q. 結果的に上がったなら、持っていれば良かったのでは?
結果だけ見ればそうです。ただ、それは逆に振れた場合の損失を見ていない判断でもあります。467万円の建玉で-10%なら、損失は50万円近くになります。同じ入り方を100回繰り返したときにどうなるかで考えるべきで、1回の結果で判断すると、次に大きく間違えます。
Q. なぜ10分後に買い直してしまったのですか?
自分が切った直後に上がっていくのを見て、取り返そうとしたからです。理屈はありません。だからこそ、事前のルールで機械的に止めるしかないと考えています。
※この記事の内容は個人の売買記録および見解であり、投資助言や特定銘柄の推奨ではありません。記載の売買はすべて過去のものであり、将来の値動きを示唆するものではありません。株価データは筆者が2026年8月に取得したものです。損切り幅やポジションサイズの数値は筆者個人の資金量に基づく設定であり、推奨値ではありません。信用取引は元本を超える損失が生じる可能性があります。

